« このまま終わっていいのか!夏! | メイン | そんな!楽しそう!週末だけロンドン、ベルリン、パリで遊ぶ! »
【元ガリンペイロの追憶(下)】
いや、そんなもんって言うけど大金よ、彼らにとっちゃ。ま、正直、安い命だよね。
何回も当てたやつもいるけど、その金で何か他の仕事するっていうのは彼らの発想にはない。
当てた、使う、また潜るって感じね。
サンパウロは今、雨です。暑いイメージの強いブラジルですが、南部では極一部ながら、雪の降る地域もあるのです。
サンパウロは標高800米あるので、天気も変わりやすく、今日のように雨も降ります。
雨が降ると洪水、停電、渋滞が発生、よく人も死にます。
かつて、渋滞中のトンネルが浸水、数十人の死者を出したこともあります。
あぁ、嫌だ。溺死。僕的には最悪の死に方です。
で、ガリンペイロ。全く視野の利かないアマゾンのお汁粉のような水のなか、
いつ崩れてもおかしくない土砂を背中で感じながら、 給水管で金探し。死ぬとしたら、窒息死。
で、ピラニアの餌になるか、水面に屍を晒す運命。・・・辛すぎ。
というわけで、文中のポルトガル語。
バイアーノ=ブラジル北部のバイーア州出身の人。
同州は音楽、カポエイラなど黒人文化の発信基地。
エンプレガード=使用人。
カミニョン=トラック。
ブラジルの日本人はポルトガル語を日本語に混ぜて使い、それを
コロニア語と呼びます。
女郎、毛唐、黒ん坊などの超一級差別用語が織り交ぜられるのも魅力的です。
では、ガリンペイロの語り、後半戦、よろしくどうぞ〜。
【元ガリンペイロの追憶(下)】
まあ、潜水夫のなかでもよく金脈当てるやつっていうのがいるんだよ。度胸のある奴。
一回潜ったら一、二時間は上がってこない。そういうのはバイアーノが多かったね。
取り分は六・四で潜水夫が六取るんだよね。まあ量にもよるけど当時、二回当てたら車一台買えるっていう程度、
その潜水夫が。いや、そんなもんって言うけど大金よ、彼らにとっちゃ。ま、正直、安い命だよね。
何回も当てたやつもいるけど、その金で何か他の仕事するっていうのは彼らの発想にはない。
当てた、使う、また潜るって感じね。
そんな死と背中合わせの仕事してるから、命の感覚っていうのが、僕らと全然違うのね。
人殺すっていうのも平気。だから、殺人も日常茶飯事だったよ。
パーンって銃声がして、行ってみると人が倒れてる。もう、しょっちゅうだから、誰もかまわない。
運が悪いっていうか、危険かどうかっていう状況を見極められなかったやつ、
しょうがないって感じね。僕も一回(足の銃痕を見せながら)危なかったけどね。
ま、よく当てるって評判のやつに僕らも頼むの。
どっか女んとこや飲み屋にいるところを引っ張ってきて、「潜ってくれ」って。
すると、川に足をチャプチャプつけながら「うーん、今日は気が乗らない」とか「天気が悪い」とかグズグズいうの。
さすがに彼らも自分が死ぬのは怖いんだよ。
もちろん、僕らも強制はできないよね、死ぬ可能性のほうが高いんだから。
半分「死ね」って言ってるみたいなもんだもんね。
なだめて、すかしてね。一度、そいつが「リンゴが食べたい」って言い出してね。
そこにはないの、リンゴ。しょうがないから、川に止まれる飛行機、
ほら、水上セスナで近くの町まで買いにいったことがあるよ。
まあもっとも、後からはもっと大きな船、三百平方米くらいかな、を買ってクレーン使ってやってたよ。
大体、五人から八人いるエンプレガードも住まわせてね、家とかもあるわけ、
その船の上に。女郎も三人住まわせてたよね(笑)
で、船を移動させながら金を探すんだけど、滝がいくつかあるわけ。
そこをその大きな船で下らなきゃいけない。下る方法はあるんだけど、その技術が分からない。
しょうがないから、船をバラしてカミニョンで運ぼうってことになった。
エンプレガードに「一週間で戻ってくるから、その間に船解体して積む準備をしとけ」って言って、僕はポルト・ヴェーリョにカミニョン探しに行ったのよ。でも、街に戻ると色々と用事が出来て結局、
その滝のところへ戻ったのは、一ヶ月後だったの。
そしたら、何をどうしたのか船が流れて滝に引っかかってるわけよ。
ま、無理に滝を下らせようとしたんだろうね。
何やってんだーって、言ってる目の前でその船、滝にドーンと落ちちゃった。で、終わり。
ま、投資したくらいは儲けてトントンだったし、面白かったしね、そろそろ潮時かなって。
家に帰るたび母親に「お前、人間の顔してない」って言われてたっていうのもあるけど。
もっともその頃、金はあまり出なくなってた。
そしたら、ポルト・ヴェーリョの人口もグッと減るんだよね。でも、まだ今でもやってる日本人いるよ。
そろそろ、雨も上がったね。ここの雨はこんな感じよ。
ダーっと一時間くらい降って止むの。さて、(マデイラ・マモレ)鉄道駅の方に行ってみましょうかー。